大衆酒場
昼の4時過ぎ、大衆酒場でのことである。
人は何かあると酒を飲むのだ。
一人の男が入店し、僕の隣の席に座った。
男は電話をしていた。
僕はそれをとなりの席で聞いていた。
「いえ、ちょっと待ってください。あと一か月だけでも…」
男はがっくりとして電話を切り、酒を頼んだ。
僕は苦い酒を一口飲んだ。
酒場の喧騒で僕は一人だった。
男も一人飲んでいる。
男は酒を飲みほした。
男の携帯が鳴った。
「…なに!それはほんとか!よかった、よかった。」
男は笑みをこぼして電話を切り、酒を頼んだ。
僕は旨い酒を一口飲んだ。